証券取引等監視委員会は7日、投資家保護の観点から「貸付け型ファンド」を販売する業者(ソーシャルレンディング業者)への情報提供および説明内容の拡充など適切な措置を行うよう内閣総理大臣および金融庁長官に対して建議しました。
ここ最近、「貸付け型ファンド」を販売する業者において、多数の投資被害や取引法違反などが見つかったことへの措置となっています。ちなみに「建議」の意味は、「意見を申し立てること」となっているので、法的な拘束力などはないようです。
金銭の貸付けを出資対象事業とする集団投資スキーム持分(以下「貸付型ファンド」という。)を販売する業者に対する検査において、
・ 資金使途等についての虚偽表示
・ 貸付先、担保等についての誤解表示
・ 貸付先がファンドからの借入れを返済することが困難な財務の状況にあることを認識しながら募集を継続
など、多数の金融商品取引法違反事例や投資者被害が生じている悪質な事例が認められた。
投資家から集めた資金を本来の目的と違うことに使ってしまったり、貸付先や担保の誤表記、返済困難な業者への貸付など、もはや何でもありのやりたい放題の状況が発生しています。
2018年はソーシャルレンディングの問題に事欠きません。直近でもトラストレンディングで以下のような問題が発生したばかりです。
もうグダグダですやん/ソーシャルレンディング会社 うその説明で投資勧誘 | NHKニュース https://t.co/LKY4HXsFFH
— しんのすけ@2729万の自分年金ファンド運用中 (@shinnosuke_aim) 2018年12月7日
過去にはこのような記事も書いています。
現在、貸金業登録制度の関係から、借り手はA社やZ社など匿名化されています。投資家からすればどのような会社に貸し付けているのか分からず、不透明な状況で投資を行う必要があります。貸付先を分散して投資していたつもりが、すべて同じ貸付先なんてことも実際にありえるのかもしれません。
本来であれば、この匿名化は万が一貸倒れなどが発生した場合、投資家が貸付先に取り立てを行うことなどを防ぐことを目的で行っていたはずです。しかし、これを悪用して投資家を欺こうとする業者が後を絶たないのが問題となっています。
もはや業者のモラルはあてには出来ない状況まできています。問題が発生するたびにその業者に対して行政処分を出していては、もぐら叩きをしているようでらちがあきません。早急にソーシャルレンディング業界全体での法整備の見直しが求められています。
投資家保護の観点からも貸付先の情報開示は必須と言えます。投資家が適切な判断ができるよう情報提供および説明内容の拡充を強く望みます。これが改善されないようであれば、遅かれ早かれソーシャルレンディングは投資家からそっぽを向かれるでしょう。
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