湿潤療法(しつじゅんりょうほう)の第一人者である夏井医師による「傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学」という本を読んでみました。今までの常識とは違う創傷や火傷の直し方が紹介されています。
従来の治療法である傷を消毒して、傷にガーゼを当てて乾かすという方法は、科学的根拠がなく単なる風習に過ぎない。かえって治療を遅らせているというから驚きです。
湿潤療法は素人でもできる
治療の原則は「傷を消毒しない。消毒薬を含む薬剤を使わない」「創面を乾燥させない」の2つだけ。従来の方法とはまったくの正反対ですね。
家庭でも気軽にできて、擦り傷や熱傷が治ってしまうのだから驚きです。しっかりとした研究に基づいた治療法なので説得力があります。
擦り傷や火傷を覆うのに適している素材
- 傷にくっつかない
- 滲出液(=細胞成長因子)を外に逃さない
- ある程度水分(滲出液)吸収能力がある
が条件となっています。この3つの条件を満たしているもので、ドラッグストアなどで気軽に購入できるものとして「キズパワーパッド」が紹介されています。
大学病院だらかと言って安心できない
熱傷に限っては、「大学病院だらか安心」ではなく「大学病院だから危ない」みたいです。大きな組織ほど、保守的になり新しい治療など消極的になります。
そのため、「消毒せずに傷も乾かさない」熱傷治療を受けたい場合には、個人開業医や小規模病院をおすすめしています。
アトピーや湿疹には白ワセリン
アトピー性皮膚炎や慢性湿疹の治療法は「乾燥を徹底的に防ぐこと」。該当部分に白ワセリンを塗って、キッチンペーパーなどでベタつきを拭きとるだけ。
これだけで、たいていの人は良くなるそうです。
化粧は皮膚を老化させる
いかに皮膚に良い成分が含まれている化粧品であっても、基剤が界面活性剤を含んでいるものは要注意!
これにより正常な皮膚にいるはずの常在菌が棲めなくなっていまい、老化が進んでしまいます。肌をきれいにするための化粧が肌を汚くさせてしまっているという点を問題視しています。
まとめ
皮膚に関して、目からウロコの内容が盛りだくさんでした。
今までやってきたことは一体何だったのか。改めて考えさせられる1冊になっています。
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