個人型確定拠出年金には国に頼らずに自分で老後資産を蓄えるという意味合いが強いだけあって、様々な優遇措置が設けられています。
特に税制面でのメリットはとても強力になっていて、活用しなければもったいない内容になっていますので早速確認してみましょう。
使わなきゃ損する個人型確定拠出年金の税制4つのメリット
1.毎月の掛金が全額所得控除される
個人型確定拠出年金の掛金は全額所得控除となり、所得税や住民税の課税所得が減額されます。
自営業・フリーランスなどの第1号被保険者であれば、最大816,000円/年(68,000円/月)、企業年金などがない第2号被保険者のサラリーマンの場合は最大276,000円/年(23,000円/月)の掛金を控除することができます。
所得税率20%のサラリーマンが個人型確定拠出年金に276,000円拠出した場合、年末調整で55,200円が戻ってくる計算になります。
民間の保険会社が提供している私的年金でも掛金の一部は控除対象となりますが、全額が対象となるわけではありません。この差は歴然で、かなりのインパクトとなっています。
2.運用益がすべて非課税
個人型確定拠出年金で運用している資産であれば、売買などで発生した差益はもちろん、利子や分配金などもすべてが非課税で運用することができます。
このため得られた利益はすべて再投資にまわすことが可能となり、投資の運用効率を最大限に高めることが可能となっています。税金がかかる一般的な金融商品に比べて大きな複利効果が期待できます。
3.受け取るときも優遇税制が用意されている
個人型確定拠出年金は年金として受け取る場合は、雑所得として課税されるので、公的年金等控除が適用されます。また、一時金として受け取る場合には退職所得として課税されるので、退職所得控除が適用されます。
年金として受け取るか、または一時金で受け取るかは自由に選択することができます(両方を併用することも可能)。受け取る時も税負担が軽くなっているので、手元に残る金額も大きくなります。
4.リアルタイムで残高を把握できる
公的年金や企業年金の場合、自分が将来いくらぐらい貰えるのか把握しづらいと思ったことはないでしょうか。それに比べると個人型確定拠出年金の場合、運営管理機関が提供しているサイトにログインすればリアルタイムに自分の年金残高を確認することができます。
貰える年金額は運用結果しだいで上下に変動しますが、常に残高を確認できるのは将来の老後資金の目標を立てる際の役に立ちます。
個人型確定拠出年金を利用する前に確認しておくべき4つのこと
個人型確定拠出年金の利用を検討している人は、メリットだけではなく、デメリットや注意点についても確認しておきましょう。
いざ、運用し始めてから「こんなはずじゃなかった」や「こんなの聞いていない」なんてことにならないように、メリットとデメリットの両方を確認して、自分にとってメリットの方が大きいと判断できたら利用したいものです。
1.原則、60歳になるまで受け取ることができない
個人型確定拠出年金は老後資産の形成を目的とした制度となっているため、原則として60歳にならないと受給できない仕組みになっています。そのため、急にお金が必要になった場合でも解約して現金化することはできません。
個人型確定拠出年金で積み立てるお金は、60歳まで使えなくても構わない余裕資金で行うようにしましょう。積み立てる金額は年1回変更することができるので、その時の状況に合わせて増減させることもできます。
ちなみに60歳から受給するためには加入期間が10年以上必要となります。加入期間が短くなると受給できる年齢も上がっていくので注意が必要です。
2.手数料がかかる
個人型確定拠出年金の制度を利用するには「初期手数料」「毎月の口座管理手数料」「都度手数料」などの手数料がかかってきます。基本的に国民年金基金連合に支払う手数料はどの運用管理機関を選んでも同額になります。手数料に差が出てくるのは運用管理機関や事務委託先金融機関に対して支払う手数料です。
手数料の差は数百円程度ですが、毎月支払う口座管理の手数料になるとその差は数千円単位にもなることがあります。そのため金融機関を選ぶ際にはそれぞれの手数料がいくら掛かるのかを必ずチェックするようにしましょう。
3.運用次第で受給できる金額が増減する
個人型確定拠出年金では、自分自身でどのような金融商品に投資するか選択しなければいけません。また、選んだ金融商品の運用次第で受給できる金額が増えることもあれば、逆に減ってしますこともあります。そのため、最低限の投資の知識が必要となります。
4.特別法人税の存在
個人型確定拠出年金には、資産額に対して掛かる特別法人税(1.173%/年)というものが存在します。現在、この特別法人税は凍結された状態が続いていて、これまでに一度も個人型確定拠出年金に対して適用されたことはありません。
2017年3月末まで課税凍結は確定していますが、その後は未定となっています。本来であれば、企業年金などに適用されるはずの税金が、なぜ凍結状態のまま残っているのか不思議でなりません。そのため完全撤廃されない限り、将来的に凍結が解除される可能性があります。個人型確定拠出年金に関しては、この特別法人税に関しては早急に廃止してもらいたいところです。
個人型確定拠出年金の利用を検討している人は、この特別法人税の存在は覚えておきましょう。万が一凍結が解除された場合には、年1.173%の税金が課せられてしまうので、積極的にリスクを取りに行かないと資産がドンドンと目減りしてしまうことが想定されます。
まとめ
個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」のメリットとデメリットを確認してみていかがだったでしょうか。60歳になるまで引き落とすことはできないという縛りがありますが、毎月の掛金が全額所得控除されるというのは破格の条件になっています。
特に自営業やフリーランスなどは退職金などが存在しません。このような税制優遇制度を最大限に活用しない手はありません。私もいろいろと投資には手を出してきましたが、今は個人型確定拠出年金をメインの投資対象としてコツコツと積み立て投資を行っています。
毎月5000円から始めることができるので、まずは実際にやってみるのが大事ではないかと思います。
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