分配金の遅延やデフォルトなど続出し、2018年前半までのクリック合戦が嘘のような状況になってきているソーシャルレンディング業界。最初は比較的規模の小さな一部業者に留まっていたリスクが、業界最大手のmaneoにも飛び火して大きな問題に発展しかねない状況となってきています。
このようなソーシャルレンディングの状況を受けて、投資家の被害が拡大するのではないかと金融庁も警戒を強めています。
遅延発生額は去年の500倍近くにもなる/ソーシャルレンディング、分配金の遅れ急増 金融庁警戒(朝日新聞デジタル) – Yahoo!ニュース https://t.co/2pWlIjfPS8 @YahooNewsTopics
— しんのすけ@2729万の自分年金ファンド運用中 (@shinnosuke_aim) 2018年12月17日
2017年では業界最大手のmaneoマーケットの延滞発生額は4500万円程度だったようですが、2018年には激増、直近ではなんと223億円にもなっています。
ちなみにmaneoマーケットでは母艦サービスである「maneo」をはじめ、「プレリートファンド」「アップルバンク」「キャッシュフローファイナンス」「さくらソーシャルレンディング」「グリーンインフラレンディング」「アメリカンファンディング」「スマートレンド」「クラウドリース」「ガイアファンディング」「LCレンディング」など複数のソーシャルレンディングサイトを運営しています。223億円というのは、この複数サイトの合計延滞発金額ということでしょう。
ただ、これはあくまでmaneo系列の遅延発生金額でしかありません。その他の業者が運営している「みんなのクレジット」や「ラッキーバンク」なども延滞およびデフォルトなどが発生していることを考えると、投資家の被害はもっと大きなものになることは火を見るより明らかです。
17日のWBS(ワールドビジネスサテライト)でもソーシャルレンディングの問題が取り上げられて、「みんなのクレジット」へ投資していた投資家の一部が集団訴訟サービスのenjinを介して集団訴訟を起こす様子が放送されていました。今後、遅延やデフォルトが多発すれば個人投資家による集団訴訟が増えてくことが危惧されます。
過去の記事でもソーシャルレンディングの問題を取り上げています。
ソーシャルレンディングへの投資は割に合わなくなってきた
ソーシャルレンディングへの投資を始めてから6年目になりますが、このようにファンドの遅延が多発する状況下ではリスクが高くなりすぎているように感じます。また、遅延状況に対する運営業者のノラリクラリした対応が多いことも投資家の不安を増幅させている要因の1つとなっています。
私も現時点で1000万円以上の資金を突っ込んでいますが、2019年以降はソーシャルレンディングへの投資割合を大幅に見直す予定です。というか既に一部の分配金は再投資をせず出金して回収するようにしています。
2018年の損失確定金額はこれまでのところ2万円程度なので大した金額になっていません。しかし、未確定の損失額がmaneoで67万円、SBIソーシャルレンディングで12万円ほど残っている状況になっています。今後さらに増える可能性もあることから、ソーシャルレンディングへの投資はリターンよりリスクの方が上回ることが予想されます。
まとめ
ソーシャルレンディングは少額の資金でも不動産や太陽光発電、風力発電など様々な投資先に気軽にアクセスできるのがメリットでありました。しかし、ここまで問題が顕在化してきてしますと、そのメリットを打ち消してしまいます。
REITやインフラファンドなども充実してきているので、あえて安全性や透明性で劣るソーシャルレンディングへ投資する意味も薄れてきてしまっているように感じます。個人的には事態の収束およびソーシャルレンディング業界の情報開示の改善などが確認できるまでは、ソーシャルレンディングへの積極的な投資は控えるべきだと考えます。
キャッシュポジションが増えることにより、ポートフォリオ全体の利回りが悪くなってしまいますが、それも仕方ありません。様子を見ながら一部の資金はREITやインフラファンド(タカラレーベン不動産投資法人やカナディアンソーラーインフラ投資法人)への投資に割り振ることも検討したいと思います。
2019年は2018年より改善するとよいのですが、今のところ改善する兆しが全く見えていないのでかなり心配な状況です。業界全体、中でもmaneoにはもっと危機感を持って対応することを期待したいです。
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